よくある症状

よくある症状

乳腺は月経周期、閉経など女性ホルモンのバランスが変化することで、痛み、張り、違和感などの症状を起こすことがよくあります。
症状が一過性または周期性のもの、両側性のものはほとんど心配いりませんが、中には注意が必要なものもあります。
気になるところがある方は、ぜひ気軽にご相談ください。
症状のある方の診察・検査は保険診療になります。

■ 乳房の痛み

月経のある方は月経周期に合わせて周期的に乳房に痛みを生じることがあります。
女性ホルモンのバランスの変化によると考えられていて、黄体期(排卵から次の月経まで)に起こりやすいとされます。
月経のない方(閉経後)も女性ホルモンのバランスの変化によって乳房痛が起こることがあります。
ほとんどの場合、痛みは一過性で日常生活に支障をきたすほどのことはありませんが、痛みが強い場合は鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)を内服して経過をみます。

痛みが片側性で長期間続いている場合は、乳がんなどの病気が関連している可能性もあるため受診が必要です。

■ 乳房の張り、違和感

乳房の痛みと同じように、女性ホルモンのバランスの変化によって生じることがあります。
ほとんどの場合は心配いりませんが、他の症状(腫瘤、硬結など)を伴っている場合は受診が必要です。

■ 乳腺のしこり(腫瘤)

良性のもの(嚢胞、線維腺腫など)と悪性のもの(乳がん)でそれぞれに特徴がありますが、触っただけでは区別が難しいことも多く、乳腺専門施設での精密検査(エコー検査、生検など)が必要です。

良性(嚢胞、線維腺腫など)を疑うしこり
・やわらかい(弾力性がある、ボールのような感じ)
・形が丸っぽい、しこりの境界がはっきりしている
・可動性がいい(しこりが皮膚の下で滑るように動く)

悪性(乳がん)を疑うしこり
・硬い(弾力性がない、石のような感じ)
・形がはっきりしない(丸くない、しこりの境界がわからない)
・周囲の組織と一塊になっている(皮膚としこりが一緒に動く)
・可動性が悪い(体にくっついているような感じ)
・しこりの上の皮膚に変化がある(へこみ、でっぱり、赤み、ただれなど)

■ 乳腺が硬い(硬結)

乳腺症や月経周期で乳腺が硬くなることがあり、一過性だったり左右差がない場合は問題ありませんが、部分的に硬いところがある、片側の乳腺全体が硬く左右差がある、硬い状態が長く続いている場合は、乳がんなどの病気が関連している可能性もあるため受診が必要です。

■ 乳頭からの分泌液

乳頭付近を絞るように圧迫した時に、乳頭先端の1つの穴(単孔性)から血液の混じった分泌液(赤、黒、黄色に近い色)がでる場合は、その奥の乳管の中に病変(乳管内乳頭腫、乳がんなど)がある可能性があるため受診が必要です。
乳頭先端のたくさんの穴(多孔性)から分泌液が出る場合、分泌液の色が透明~白っぽい場合は、乳管の中の老廃物のようなもので問題ありません。

■ 乳房の変形、左右差

もともと乳房に左右差があってずっと変わっていない、乳腺の手術後など原因がはっきりしている場合は問題ありませんが、原因がはっきりしない場合は、病気が隠れていることがあるため受診が必要です。
乳がんでは乳房が変形して大きくなったり、逆に硬く小さくなることもあります。

■ 乳房皮膚のへこみ、ただれ

皮膚科の疾患のことが多いですが、なかなかよくならない場合は乳腺外科の受診が必要です。
乳がんが皮膚まで広がることで起こることがあり、その場合はその皮膚の下が硬かったり、しこりを触れることが多いです。

■ 乳頭の陥没、ただれ

以前から乳頭がへこんでいてずっと変化がない方(陥没乳頭)、症状が一過性の場合は問題ありませんが、新しく起こったもので、なかなかよくならない場合は乳腺外科の受診が必要です。
乳がんが乳頭まで広がることで起こることがあり、その場合は乳頭の下が硬かったり、しこりを触れることが多いです。

■ わきの下のしこり(腋窩リンパ節腫大)

腋窩のリンパ節はいろいろな原因(けが、ワクチン接種、リウマチなど)で腫れることがありますが、乳がんのリンパ節転移が原因のこともあります。
リンパ節の腫れが一過性であれば問題ありませんが、原因が不明で続いている場合は、乳腺外科で乳房の検査(マンモグラフィ、エコー検査)が必要です。

【乳腺炎の症状】

乳房に強い痛みがあり、その部分の皮膚が赤く(発赤)、硬い(硬結)場合は、乳腺炎を起こしている可能性が高いです。
時間がたつと高熱がでたり、皮膚から膿がでることもあります。早めに乳腺外科を受診してください。